プラグマティズム

プラグマティズムとは、理論や信念に含まれる真理を、それ自体の整合性ではなく、実際に適用した結果によって評価する立場である。正しさはあらかじめ与えられているものではなく、行動を通して現れ、その成果や失敗の中で確かめられる。理論よりも行為を、原理よりも事実と結果を重視する考え方だ。

この思想は、アメリカの哲学者・科学者チャールズ・S・パースと、哲学者・心理学者ウィリアム・ジェームズによって形成された。アイデアや命題の意味、あるいはその真理性は、観察可能な実際的結果の中にあるとされる。さらにこの考え方は、アメリカの教育学者ジョン・デューイによって、教育や社会実践の領域へと発展していった。

パースは、人間の思考には三つの推論形式があると考えた。演繹法は前提や仮説から結果を導き、帰納法は個別の事例から一般的な原理を導く。これらに加えて彼が提唱したのが、結果や事実から前提や仮説を推測する第三の推論形式、アブダクションである。

アブダクション(abduction)は、本来「誘拐・拉致」を意味する語で、結果から原因を推定する思考法を指す。日本語では一般に「仮説的推論」と訳される。不完全な情報のもとで行われる以上、特定の前提や仮説に捉われてしまう危険を常に含む。しかしその一方で、限られた状況の中から最も妥当と思われる仮説を暫定的に立て、行動を通じて修正していくという、人間の実際の思考や判断に極めて近い推論プロセスでもある。

このアブダクション的思考は、現在ではAI(人工知能)の分野でも用いられており、推論の基本原理の一つとして位置づけられている。

このプラグマティズムという考え方が、これまでの私自身の思考や行動のあり方に最も近いと感じている。

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