映画が教えてくれた演劇の魅力

映画 アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台 をAmazonプライムで観た。
映画でありながら、ライブや演劇という「生の表現」の力を、あらためて思い出させてくれる作品だった。

フランスは、音楽や美術だけでなく、演劇にもコンセルバトワールという国立の教育機関を持つ国だ。
そのため本作も、当然フランスの演劇文化を背景にした作品だと思い込んで観ていた。ところがエンドロールで、スウェーデンの実話をもとにし、ヨーロッパのどこかで今も上演され続けている演劇が原点であると知り、少し見当違いだったと気づいた。

それでも、演劇そのものの魅力、ライブ・パフォーマンスの持つ力は十分に伝わってきた。
とくに演劇のシーンでは、映画であることを忘れ、まるで客席に座って舞台を観ているかのように、思わず引き込まれてしまった。

さいたま市からだと、演劇を観に行くには東京まで出て(さいたま芸術劇場はあるが)、数時間をかけ、交通費と入場料を払う必要がある。そのコストと、家で映画やテレビ、配信動画を観られるコンビニエンスさを比べると、プラクティカルな人間にとっては後者が圧倒的に、100対1くらいで有利だ。だから、どうしても家で済ませてしまう。

それでもやはり、生で観ることには代えがたい価値がある。
天候が悪くても、歳をとっても、疲れていても、ときには外に出て、ライブを観に行こう。
この映画は、そんな当たり前のことを、静かに思い出させてくれた。