ライブがなぜいいのか。
感覚的にはわかっているけれど、少し言葉にしてみる。
① 距離感
ライブの距離感は、物理的な近さだけではない。
演者と観客のあいだに、ある種の「同時性の回路」が開いている感じがある。
咳や沈黙、間、ちょっとしたミス、息遣い。
観客の反応が演者に返り、その反応がまた客席に戻ってくる。
その往復は「今ここ」でしか成立しない。
録画では再現できない理由が、ここにある。
② 臨場感
臨場感という言葉はよく使われるが、正体はわりと単純だと思う。
それは、
情報が編集されていないという一点に尽きる。
カメラは切り取り、編集は視点を固定する。
そこには必ず「他人の視点」が介在する。
一方ライブでは、視点の主権が自分にある。
どこを見るか、何を感じるかを、自分で引き受けている。
③ 同じ空気を吸っている現在進行形感
これが一番大きい。
失敗も成功も巻き戻せない。
予定調和であっても、結果は終わるまで確定しない。
「何が起きるかわからない」状態が続く。
不可逆性があるから、集中する。
集中するから、記憶に残る。
④ 自分の感覚器で受け取っている感覚
これはとても重要だ。
スクリーンは「代理体験」だが、
ライブは「自分の身体がセンサーになる体験」。
音圧や振動、視野の端に入るノイズ。
その日の体調や疲労感までも含めて受信している。
だから同じ演目でも、毎回体験が違う。
なぜドームは違うのか
ホールとドームの違いは、
ライブとテレビ・動画配信の差を考えるヒントになる。
ドームでは、
- 人数が多すぎる
- 空間が大きすぎる
- 直接性が薄れる
結果として、
ライブ形式の巨大な映像体験に近づいてしまう。
だから、
テレビよりは良いが、ライブの核心からは少し遠い、
という感覚になる。
理由はいくらでも挙げられるが、
結局のところ、ライブの良さは理屈だけでは説明しきれない。
肌感覚や、第六感の領域にまで及ぶ。
演劇も、コンサートも、スポーツも同じだ。
もちろん、すべてをライブで観ることはできない。
だから棲み分ければいい。
普段はテレビやネット配信で十分。
そして「これは」というときに、ライブを選ぶ。
そのほうが、ライブの良さはより際立つ。
旅行も、同じ意味でライブだと思う。